エフゲニー・ザラフィアンツ 篇
2013年11月17日に開催されました、エフゲニー・ザラフィアンツ ピアノリサイタルのピアニスト、エフゲニー・ザラフィアンツさんへのインタビューです。
彼はたいへん日本の文化に興味を持たれており、流暢に日本語をお話しになるばかりでなく、漢字の研究も熱心にされているとのことです。
日本においても後進の育成をされており、事実リサイタルにも何人かお越しになっていました。
ザラフィアンツさんのプロフィールはコチラ
ベーゼンドルファーは、他のピアノと比べてどういった特徴があるとお感じになりますか。
ベーゼンドルファーは、18世紀から19世紀の音楽家、例えばハイドンやロマン派、ヴィエナミュージック、つまりベートーヴェン、モーツァルト、そしてシューベルトなどの作品を弾くのに適しています。
スタインウェイは、(音が)やわらかく豊かで、それら(ロマン派)以降の音楽に適しています。
それでは、今回のプログラムはそういったことも考慮されてのことですか。
そうですね。
どの作曲家が特にザラフィアンツさんの内面を表していると思われますか。
その時々によって変わります。これといって特にありません。
その時の気分によっても変わりますか。
そうですね。
それでは今はどうですか。
2013年はベートーヴェンをやりたいと思っています。がしかし、これからはどうなるかはわかりません。
ベートーヴェンの音楽について、ザラフィアンツさんはどうお感じになられますか。
人間のドラマです。偉大で意味深く、精神性があります。
開演ぎりぎりまでリハーサルをされていましたが、それは例えば音楽の世界に深く入り込むために集中力を高めるためといった理由だったりするのでしょうか。
いえ、そういったことではありません。深く入り込むためではありません。
集中力を高めるために、練習は必要ありません。
指を慣らすためであったり、ピアノの個性を知るためだったりします。
鍵盤に指を置いた瞬間、集中できるということですね。
そうですね。しかし客席から椅子を動かす音であるとか咳であるとか、カバンを開ける音などがした時などは集中できませんね。
編集後記
寡黙な人間は、言葉で自分を表現しない分、内側に豊かな世界がひろがっていることがあるものですが、
彼はその典型のようだと私には感じられました。
彼の響きは、あるときはずっしりと、あるときははかなく、多面的で、雄弁で、直接私たちの心の深層にまで押し寄せる波のように届き、激しく揺さぶります。
そんな満月間近の演奏会でした。
(文責:岡本)